【完全ガイド】導入事例の作り方｜企画から取材、効果測定まで9ステップで徹底解説

2025年10月2日（木）

お役立ち情報

「導入事例を作ることになったが、何から手をつければいいのだろう？」
「ただお客様の声を紹介するだけでは、なかなか成果につながらない…」

企業のマーケティングや営業企画を担当する中で、このようなお悩みを抱えていませんか。

BtoBマーケティングにおいて、導入事例は見込み客の購買意欲を後押しする非常に強力な武器です。しかし、その作り方を間違えると、時間とコストをかけたにもかかわらず、誰にも読まれないコンテンツになってしまう可能性があります。

本記事では、成果を最大化するための戦略的な企画から、具体的な制作フロー、さらには公開後の活用方法まで、「成果につながる導入事例の作り方」を9つのステップで網羅的に解説します。

なお、Webに特化した編集プロダクション「株式会社Wordeal」でも導入事例記事の作成（1記事6万5,000円〜）を承っております。お気軽にお問い合わせください。

なぜ今「導入事例」が重要なのか、3つの目的とメリット
成果を最大化する導入事例の制作フロー｜9つのステップ
【費用と期間】導入事例の制作｜内製と外注の比較
失敗しない！導入事例の制作会社の選び方3つのポイント
よくある質問（FAQ）
- Q1. 取材を断られてしまった場合はどうすればいいですか？
- Q2. 導入効果を定量的な数値で示せない場合はどうすればいいですか？
まとめ

なぜ今「導入事例」が重要なのか、3つの目的とメリット

効果的な導入事例は、見込み客の課題解決を後押しし、購買決定を促すための戦略的なコンテンツです。まずは、目的とメリットを3つのポイントで理解しましょう。

目的1：見込み客の「自分ごと化」を促進する

見込み客は、「自分と同じような課題を抱えた企業が、どのように成功したのか」というリアルな物語を知りたいと考えています。

自社と近しい業種や規模の企業事例を読むことで、「この製品・サービスを使えば、自社の課題も解決できるかもしれない」と、自分ごととして捉えるようになります。

目的2：製品・サービスの具体的な利用シーンを提示する

機能やスペックを羅列した資料だけでは、製品・サービスが実際にどのように使われ、どのような価値を生むのかを具体的にイメージするのは困難です。

導入事例は、実際の顧客が「どのように活用しているか」をストーリーとして示すことで、製品への理解を深め、活用のイメージを鮮明にします。

目的3：第三者視点での客観的な信頼性を獲得する

企業からの一方的なアピールよりも、実際に利用した顧客という「第三者」からの評価は、はるかに高い信頼性を持ちます。

顧客のリアルな声を通して語られる成功体験は、何よりの証拠となり、見込み客の安心感と信頼を醸成します。

成果を最大化する導入事例の制作フロー｜9つのステップ

それでは、実際に成果の出る導入事例を制作するための全手順を9つのステップに分けて具体的に解説します。

【STEP1：企画】目的とターゲットを明確にする

制作に着手する前に、まず「誰に、何を伝えて、どうなってほしいのか」を明確に定義することが最も重要です。

ターゲット： どのような業種、規模、役職の担当者に届けたいか？
メッセージ： 製品・サービスのどの価値を一番伝えたいか？（例：コスト削減、業務効率化、売上向上など）
ゴール： 読んだ後にどのような行動を取ってほしいか？（例：問い合わせ、資料ダウンロード、セミナー申込など）

この企画がブレてしまうと、誰の心にも響かない事例記事になってしまいます。

【STEP2：依頼先の選定】事例として最適な顧客を見つける

次に、企画したターゲット像に最も近い、理想的な顧客企業を選定します。

選定基準の例
- 導入によって明確な成果（定量的・定性的）が出ている
- 知名度や業界内での影響力がある
- 自社がターゲットとする業種・規模と合致している
- 担当者との関係性が良好である

日頃から顧客と接している営業部門と連携し、候補となる企業をリストアップしましょう。

【STEP3：取材依頼・交渉】メリットを提示して許可を得る

依頼したい顧客が決まったら、取材を打診します。多忙な相手に協力してもらうためには、相手側のメリットを丁寧に伝えることが成功の鍵です。

顧客側のメリット
- 自社の取り組みをアピールでき、企業認知度が向上する
- 業界内での先進的なイメージがつき、採用活動にもプラスに働く
- 被取材者自身の社内での評価向上につながる
- 被リンク施策になる

取材依頼の際は、これらのメリットに加え、取材の所要時間や公開までの流れを具体的に示し、相手の負担を軽減する配慮を忘れないようにしましょう。

【STEP4：事前準備】取材の成否は準備で決まる

取材の質は、事前準備で9割決まると言っても過言ではありません。

質問項目の作成： 聞くべきことをリストアップします。
徹底した事前リサーチ： 相手企業の公式サイト、プレスリリース、事業内容などを隅々まで読み込み、基本的な情報をインプットしておきましょう。前提知識があることで、より深い質問が可能になります。
社内ヒアリング： その顧客を担当している営業やカスタマーサクセス担当に、導入前の課題や成功の背景などを事前にヒアリングしておきます。

【STEP5：取材実施】顧客の本音を引き出すインタビュー術

取材当日は、取材対象者がリラックスして本音を話せるような雰囲気作りをすることが何よりも大切です。

まずは本格的な質問に入る前に、雑談を交えるなど簡単なアイスブレイクで場の緊張を和ませましょう。相手が話しやすい空気を作ることが、深掘りできるインタビューへの第一歩となります。

本題の質問に入ったら、具体的なエピソードを引き出すことを常に意識してください。そのためには、「5W1H（いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように）」を盛り込んだ質問が極めて有効です。

例えば、「導入効果はありましたか？」という漠然とした質問では、「はい、ありました」という一言で終わってしまいかねません。そうではなく、「導入後、具体的にどの業務が、どのように変わり、月間で何時間の工数削減につながりましたか？」といったように掘り下げることで、読者が情景を思い浮かべられるような活き活きとしたエピソードを引き出すことができます。

また、相手の話に真摯に耳を傾け、適切な相槌やリアクションを返すことも重要です。インタビュアーが熱心に聞いてくれると感じれば、相手も「もっと話したい」という気持ちになり、より多くの本音を語ってくれるでしょう。

最後に、インタビューの内容を正確に記録するため、必ず事前に許可を得た上でICレコーダーなどで録音・録画することをおすすめします。そうすることで、後から聞き返すことができ、記事の正確性を担保できます。

【STEP6：構成・執筆】読者の心を動かすストーリーテリング

取材で得た情報を、読者の心を動かすストーリーに仕立て上げます。

成功する導入事例には、読者が感情移入しやすい「型」があります。以下のテンプレートを参考に構成を組み立てましょう。

【すぐに使える】導入事例のテンプレート

タイトル： 「誰が（株式会社〇〇様）」「何を導入して（△△）」「どうなったか（業務時間を50%削減！）」が一目でわかるように。
お客様の紹介： 企業の基本情報（事業内容、従業員数など）。
導入前の課題（Before）： 読者が最も共感するパート。「こんなことで困っていた」というリアルな課題を具体的に描写する。
導入の経緯・決め手（Why）： なぜ自社製品を選んでくれたのか。他社製品と比較した際の決め手を語ってもらうことで、製品の強みが客観的に伝わる。
導入後の活用方法（How）： 実際にどのように製品・サービスを活用しているのかを具体的に記述。読者が自社で利用する際のイメージを膨らませる。
導入後の成果・効果（After）： 「〇〇の時間が月間50時間削減」「受注率が15%向上」など、可能であれば定量的な成果を入れる。定量化が難しい場合は、担当者の喜びの声など定性的な効果を盛り込む。

【STEP7：デザイン・制作】読みやすさと信頼感を両立

素晴らしい文章が完成しても、それが読まれなければ意味がありません。読者がストレスなく読み進められ、内容を深く理解できるようにするためには、文章だけでなくデザインの力も非常に重要になります。

特に、記事の信頼性を格段に高めるのが写真の活用です。取材に協力してくれた担当者の顔写真、それもできれば自然な笑顔の写真を掲載することで、記事に温かみとリアリティが生まれます。

さらに、実際のオフィス風景や製品の利用シーンを写真で見せることで、読者はより具体的に導入後のイメージを膨らませることができるでしょう。

【STEP8：顧客確認・校正】認識のズレを防ぐ

原稿が完成したら、公開前に必ず取材協力してくれた顧客に内容を確認してもらいます。これを「顧客校正（客先校正）」と呼びます。

意図しない表現になっていないか、事実と異なる部分はないかなどをチェックしてもらいましょう。修正依頼には丁寧に対応し、感謝の気持ちを伝えることが、良好な関係を維持するために不可欠です。

【STEP9：公開・活用】作って終わりではない！多角的な展開

導入事例は、Webサイトに公開して終わりではありません。作成したコンテンツを最大限に活用しましょう。

Webサイト： 専用の導入事例一覧ページを作成する。
営業資料： 商談の際に、顧客の課題に近い事例を提示する。
メルマガ： 新しい事例を定期的に配信する。
SNS： 記事のポイントを要約して発信する。
Web広告： 質の高い事例は、広告のランディングページとしても活用できる。

【費用と期間】導入事例の制作｜内製と外注の比較

導入事例を制作するには、「自社で作る（内製）」か「プロに頼む（外注）」かの2つの選択肢があります。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に合った方法を選びましょう。

	内製	外注
メリット	・コストを抑えられる・製品/サービスへの理解が深い・スピーディーに進行できる場合がある	・プロ品質のコンテンツが期待できる・客観的な視点で魅力を引き出せる・社内リソースを割かずに済む
デメリット	・担当者のスキルに品質が依存する・取材や執筆に多くの工数がかかる・ノウハウがないと効果が出にくい	・コストがかかる・制作会社との意思疎通が必要・製品理解のためのインプットが必要
費用相場	人件費のみ	15万円～50万円/本 ※インタビュー・執筆・撮影など内容による
制作期間	1ヶ月～3ヶ月	1.5ヶ月～3ヶ月